歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
第1章 海と潮流の章(星と海はロマンと伝説の宝庫)
このシュメール粘土板の計算書に、
「195兆9552億」という、
とんでもない数が書かれたものが
ある。ニネベのアッシュール
バニパル王図書館から出土したので、
「ニネベの聖数」と呼ばれている。
1975年にフランスの宇宙工学者・
モーリス・シャトランが、この
天文学的数字の謎を解読した。それ
によるとこの数字は、地球の公転
時間が72年で1度遅れるという
「歳差運動」にかかわるもので、
1周2万5920年の240回分
という数字だった。だから何なのだ
と言われそうだが、恐るべし
シュメール天文学・・・なのである。
シュメール文明と並ぶ、古くて
高度な文明だったのが「インダス
文明」である。2002年インド
科学技術省の発表によると、北西
インド・グジャラ―ト州カンベイ
湾海底から、モヘンジョ・ダロ
そっくりの都市遺跡が発見された。
今から9500年前のものとされる
ため、ひょっとしたらシュメール
文明のルーツなのかもしれない。
古代インドのバラモン教典
「シダーハンタ・シロマニ」には、
ツルチという時間の単位が登場する。
1ツルチは0.3375秒である。
さらに「ブリハス・サカサ」という
文献に至っては、1ビカラ=24秒
からパラ、タトパラ、イマ、カシタ
と分割してゆく。1カシタは3分の
1億秒ということになる。この数値
は、原子核の素粒子・ハイパロンや
メゾンの寿命とほぼ同じなのである。
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