歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
第1章 海と潮流の章(星と海はロマンと伝説の宝庫)
夕刻、中納言教盛(のりもり)、修理
太夫経盛、小松中将資盛(すけもり)、
左馬頭(さまのかみ)行盛が次々に入水。
これを見届けた知盛もその後を追って
入水した。平家武者は誰一人切腹
していない点、興味深い。安徳天皇は
二位の尼に抱かれたまま、東に
向かって伊勢神宮に別れの言葉を述べ、
西方浄土へ向かって念仏を唱えた後、
入水した。
総大将・宗盛と清宗父子は捕らえられ、
後に斬首。端武者850人は、生かして
おいても面倒なりと、その場で首を刎ね、
海中に投棄した。ここにおいて、貿易
立国を目指した平清盛の悲願は虚しく
海中に没し、軍事大国への歴史が幕を
開ける事になったのである。
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