歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第1章 海と潮流の章(星と海はロマンと伝説の宝庫)
 第3陣は阿波民部重能(しげよし)
率いる阿波水軍と、平家最強の男・
能登守教経らを従えた平家一門の船団
である。知盛は、いかに大局的に劣勢
といえども、この海戦に限って言えば、
敗れるとは思っていなかった。九州の
水軍衆は、誰もが巧みに船を操り、
日頃の潜水の技を生かし、船底に
潜って穴をあける事も容易に出来た。
潮流や天候に熟知した海の荒くれ者
たちだった。一方源氏の将兵は、
船酔いして満足に弓をひけぬ者多し
と聞いていた。しかも海戦域は、
潮流の変化が激しい早鞆の瀬戸なの
である。

 潮流は一日に2度、大きく変化する。
夜明け頃、潮は響灘から周防灘へ向け
て東流を始め、昼頃最も急流となる。
やがて流れは弱まり、午後3時頃
反転して西流し始める。その流れが
最も速まるのは、日没近くの午後6時
頃である。

 知盛は東流が最速となる正午頃、
鶴翼の陣形を組み、源氏船団めがけて
一気に押し出した。短時間のうちに
全滅させようという作戦である。
だが源氏軍もまた潮流を読んでいた。
楯を亀の甲羅の如くにして矢を防ぎ、
平家の挑発に乗らず、逃げまくった。
そして潮流が西流する午後3時を
待った。
 この時形勢を逆転させたのは、
平家方の阿波水軍が源氏に寝返った
からだとされているが、吾妻鏡の
捕虜に「民部太夫しげよし成良」の
名がある事から、裏切りはなかった
のかもしれない。
 ともあれ潮流反転と共に、源平の
形勢もまた逆転した。平家軍は
じわじわと彦島方面に押し戻され
ていった。長門国と豊前国の陸地が
800メートル程まで接近する辺り
を壇ノ浦という。この地点には、
和田義盛ら3町(324m)の遠矢を
放つ源氏屈強の陸戦隊が、平家船団
を待ち構えていた。平家軍の将兵は、
次々に強弓に射抜かれ、海中に身を
投じていった。海中には血の匂いで
集まったサメが群れていた。

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