歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
○東洋的センス
多少荒っぽい表現ながら、これ
までの人類の文明を総括して
ひと言で表すと
「神殿を中心にして発展して
きた文明」となる。神殿の中
には神と、その代理人である
宗教的権威が存在し、多数の
信者や民衆といったヒエラルキー
構造をつくり上げている。その
代表例が聖書を思考の中心に
据えた、キリスト教などの聖書
文明である。
ピラミッド構造のヒエラル
キーは「支配と服従」の関係
で成り立ち、この心理構造が、
生活規範や倫理・行動様式
などを決定している。なぜ
この構造が人間社会の中で
連綿として続いているかに
ついては
「人間を含めあらゆる動物の
集団の中には、積極性と
指導的素質を持った者が
5%いる。残り95%は
程度の差こそあれ消極的
である」
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