今昔玉手箱2/聖書文明編
第2章 ダークマインドの章(人の心は複雑怪奇)
母と息子、父と娘、兄弟姉妹間の
性行為は、原始社会からのタブーと
して、死刑に値する罪だった。これを
犯した者は、部族の者が集団で処刑
したわけだ。それほど近親相姦とは
魅力的らしい。だからそのタブーを
破った者がうらやましい。その嫉妬
の感情が「死刑」となったのである。
さらに、ヤハウエと対立する古代
オリエント社会では、大地の女神・
イシュタルを敬うという意味から、
男は牡牛、女は蛇や子猫、子犬、
ロバなどと交わった。プトレマイオス
朝エジプトでは、兄弟姉妹で結婚
するのが原則だった。「姦淫」とは、
これらを禁止した言葉だったらしい。
禁止したくなる気持ちもよくわかる。
原始社会から人間は、動物を
神からの贈り物として殺し、感謝
して食べた。同種の動物、つまり
人間は食べなかった。これは動物に
共通した「殺しの抑制機能」だと
言われている。殺しはタブーである。
だが殺したい。そこで「心理的
すりかえ」というか、「論理的
ごまかし」が必要になる。殺す
相手が同種でなければいい。殺し
の抑制機能は、異種ならば無く
なるか非常に弱まる。殺す相手が、
殺すに足る理由があればいい。
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