今昔玉手箱2/聖書文明編
第1章 オリエントの章(旧約聖書の世界)
○ユダヤ受難史
1923年に発行されたドイツの
新聞「突撃者(デア・シュチュルマー)」
をヒトラーは特に好んで、隅から隅
まで読んだと語っている。
「ユダヤ人と南京虫はおたがいに
ひどく似通っている。どちらも害虫
なのだ。どちらも常にまずぼろと
古着の間から出てくる。彼らは東方
からわれわれのもとにやって来た・・」
とは、繰り返される反ユダヤ宣伝の
ほんの一節である。
殺人は相手が同種の場合、殺し
の抑制機能が強く働くという。
だが相手を「異種」と見なすと、
心理的すり替えというかごまかし
作用によって、攻撃行動が大胆に
起きやすくなるという。キタナイ
モノ(汚物)やカワッタモノ(異物)
を無価値だと「主観的に思い込む」
と、抹殺の対象にすりかわるの
である。人間ならば殺す事を
ためらうが、南京虫ならばサイ
クロンBのような青酸系殺虫剤
で殺してもかまわないというわけ
である。ただしこの毒物、本当
に人間が殺せるかどうかには
多少の疑問があるのだが。
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