今昔玉手箱2/聖書文明編
第1章 オリエントの章(旧約聖書の世界)
一方、捕囚地メディアから北へ
向かった集団もある。彼らは
黒海沿岸からクリミア半島に至り、
数多くの墓を残している。その後
スキタイ人らと行動を共にして、
カスピ海北部から東へ向かったと
伝えられている。
一方、アッシリアに臣従した
南王国ユダは、ダビデの子孫を
王位に就かせて命脈を保っていた。
ユダ王国には、日本の「万世一系」
に近い理念があったという。だが
首都エルサレムのヤハウエ神殿
にはバール神が祀られ、ソロモンの
栄華は遠い過去のものになっていた。
北王国イスラエルの滅亡から
135年を経たBC586年。
新バビロニアのネブカドネザル
2世軍がエルサレムを包囲。ユダ王
ゼデキアは、エジプトと同盟して
1年半抗戦したが遂に落城。
エルサレムは神殿も宮殿も城壁も、
徹底的に破壊された。ゼデキアの
前で子供たちが殺され、彼は目を
えぐられて住民と共にバビロンに
連行された。
バビロン捕囚から50年後の
BC538年。アケメネス朝
ペルシャをうち建てたキュロス王
が、バビロンへ無血入城して
新バビロニアが滅亡。ユダヤ人は
解放され、帰国が許された。だが
パレスチナもペルシャ領となり、
アフラ・マツダの神がオリエント
全域を支配。ユダヤ人国家の建設
は夢のまた夢となっていた。
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