サクラとハルと
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/22
最終更新日:---

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サクラとハルと 第1章 ずるい

「好きだよ」と今日も5度目の告白。
久しぶりに彼女の家で過ごす休日。俺が作った料理をどうやって作るのかと質問をいくつも飛ばしながら「ずるいなぁ」とおかしなことを言い、結局のところ「おいしい」と食べてくれる彼女に4度目の告白をしてから、30分程度たったころ、ふと出されたお茶を口にして、5度目のそれを迎えた。
熱すぎない温度と俺の好きなお茶の種類を知っていてくれるのが嬉しかった。
それだけなのだが、それを当然のように与えてくれる彼女が愛おしかった。
「し、知ってますー」
照れてこちらを見ない彼女もまた可愛い。
「だいたいね、いっぱい言えばいいってものじゃないんだよ」
顔が赤くなっていく彼女に「うん」と答えながらも、「好き」と微笑んでしまう。
「だからっ。価値下がるよ、あんまり言ってるとさ」
テレビにしか注がれない目が、ぱちぱちと無駄に瞬きをする。
「下がるんだ?」
「さ・・・がらない?」
「咲良の“好き”は全部大事だよ」
お茶を口に含んでそっと目を閉じる。
このお茶はなかなか店に並んでいないのに。
このお茶が好きだなんていったことは一度もないのに。
彼女はちゃんと分かってくれていて、猫舌な俺のためにちょうどいい温度のおいしいお茶を淹れてくれる彼女の想いだって、こんなにも俺にとっては価値のある大切なものなんだ。
「咲良が大好き」今日6度目の告白。
不安そうな目に微笑んでやると、ふっと彼女の中から何かが抜けた。
「ずるいなぁ」
彼女が柔らかく息を吐いて笑う。
何がどうずるいのかは分からないが「ずるいか」と俺もおかしくなって笑った。

そういえば料理も、彼女は苦手ながらに懸命に励む。
彼女の苦手な料理を、感情を伝えるということを俺が簡単に熟してしまうことにずるいというのなら。
「咲良のがずるい」
「え?」
だって君は言葉にしなくたって、伝えられるじゃないか。
「俺、咲良に好きって言われなくても分かるんだよ」
俺が何百回言葉にしても伝えきれないほどの想いを、君は言葉にせずに俺に伝える。
「自惚れじゃないですかー?」
「いや、自惚れじゃないでしょ」
知ってる。君が俺を大好きなこと。
だからずるい。
「ふふ。陽、大好き」
だって君は、言葉にせずとも想いを伝えられるのに、こうして時折言葉にさえしてしまえるのだから。
「ずるい」

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