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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/22
最終更新日:2011/03/27 02:33

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- Garden - 第2章 第二章  ‐ 園 ‐
「久しぶりですね、藤の君」
門の隅で書物を置いて砂を掃っている藤の君に声をかけると「まぁ」と明るい声と共に笑みが浮かんだ。
「この間の。お名前を聞き忘れてしまって」
「雅といいます」
「雅様。今日はこちらでお仕事ですか?」
「えぇ。貴女は何を?」
そっと書物に目を向けると、彼女も一番上に積まれた歴史書を手にとって答える。
「子供たちの習いのために書などをいくつか借りに参ったのです」
宮家には各家に何十人もの養子がいて、幼い子供も多く親もとを離れて育てられると聞いたことがあり、「あぁ」と頷く。
ふと静かな風にふれる彼女の美しい髪に目をひかれ、ぽつりと言葉をこぼした。

「貴女はお強いのですね」

細い肩や、近くで見れば見るほど繊細そうな彼女のどこに、男共に向かいたつ勇気や、女共に屈せず立ち続ける強さが隠れているのだろうと思うと、自然とそんな言葉を口にしていた。
女性に対して強いというのは失礼かもしれない、と急いで言葉を続ける。
「いや、悪い意味ではなく。花のように嫋やかなというようなことが言いたくて。気を悪くなさらないで下さい」
慌ててそう言い直し頭を下げると、クスリと笑い声が降ってきた。
「おかしな人。先ほどのこと、見ておられたのですね」
どこまでも柔らかく優しい、春の陽だまりのように笑う人だった。
「すいません」
「かまいませんわ。けれど女とは恐ろしい生き物だと、思わないでくださいね。ただ悲しみや苦しみをぶつける場所が他に見つけられなかっただけなのです。」
「藤の君」
「己に向けることができなかった、それだけのことですから。“強い”というお言葉、私はとても嬉しく思います」
その笑みが自分に向けられていると思うと、息が詰まった。
どこまでも強いお方だと深く頭を下げそうになる。
私の母も宮の出で彼女のようにお強くあられるが、彼女がこの若さでそれを手にしているということは少しばかり恐ろしく思えた。
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