歴史エッセイ集「今昔玉手箱」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/11
最終更新日:2011/03/11 11:01

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱」 第4章 黒の章(悲惨な戦争と希望の光)
 12月9日。中央の土井228連隊は、
沙田海・城門貯水池・針山を結ぶ「ジン・
ドリンカーズ・ライン」と呼ばれる英国
九龍防衛陣地線に達し、九龍城の水脈で
ある城門貯水池に夜襲をかけて奪取した。

 230連隊の野口挺身隊350人は、
12日午前7時30分、九龍市内に突入。
9時頃までに完全制圧した。英軍は九龍
要塞で戦車を繰り出して激しく抵抗したが、
田中229連隊の猛攻に押されて後退を
余儀なくされた。こうして13日までに
日本軍は、九龍半島全域を制圧した。

 14日からは四五式24センチ榴弾砲
が据え付けられ、香港島要塞に向けての
砲撃が始められた。陸軍航空隊の九七
軽爆や隼は、啓徳飛行場の英空軍機に
対して、壊滅的な打撃を与えていた。
この間兵士たちには、新たに米4日分
と缶詰、通常の倍に相当する240発
の予備弾薬と手榴弾数発が支給され、
香港島夜間敵前上陸作戦の準備が整え
られていった。

 18日午後9時。香港島への夜襲
作戦が開始された。兵士たちは、歩兵銃
と鉄兜に60キロの装備を身につけ、
同士討ちを避けるため背に白布を縫い
付けていた。黒い海面に、探照灯から
放たれた光の筋が十数本走っていた。
英軍は異変を察知し、日本軍の上陸用
舟艇およびその進路にあたる海面に、
猛攻撃を仕掛けてきた。

 これに呼応するように、陸軍の重砲・
野砲、海軍の砲艦「嵯峨・宇治・橋立」
からの艦砲射撃が一斉に開始された。
敵味方入り乱れての砲撃戦は、百雷天に
轟き、地球が真っ二つに割れるような
ものすごさであったという。金属が
溶けたような色の炎の弾道は、暗い
夜空をオレンジ色に染めた。
 上陸用舟艇は要塞砲に狙い撃ちされ、
前後左右に木の葉の如く揺れた。60
キロの装備を身につけている為、海に
落ちれば二度と浮かぶ事はない。誰
もが夢中で舟にしがみついていた。

 上陸後は各隊とも、一進一退の
大乱戦となった。連日雨降る香港島
に、日英兵士の死体が累々と横た
わった。ある者は戦車や機銃掃射に
よって、ある者は断崖から転落して
命を落とした。南国の暑さと雨に
よって、死体は黒く膨張し、無残に
変わり果てていった。
 26日までの日本軍の戦死者は
683人。負傷者1412人。28日、
酒井隆中将や新見政一中将ら首脳部
が香港総督府に入城し、香港攻略戦
は終了した。
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