歴史エッセイ集「今昔玉手箱」
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シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/11
最終更新日:2011/03/11 11:01

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱」 第2章 幻の章(おとぎ話や妖怪の事など)
 同じ化けたり化かされたりする
動物に狸がいる。九州に河童が
渡ってきた頃、陸奥の狸は人間に
化けて歌を詠んだという。当時、
辺境・異界の地とされていた
みちのくの山野に棲む狸でさえ歌
を詠むという、日本文化の奥深さ
はただごとではない。

 この狸が女に化けると、
「寝ぶとり」という妖怪になると
いう。昼間は清楚でスリムな美人
なのだが、寝る時になると体が
部屋いっぱいに広がり、大いびき
をかくため、大抵の男は逃げ出す
という。
「好きだの惚れたのと言っても、
しょせんは外見よ」という狸の
皮肉な笑いが聞こえてきそうで
ある。

 かつて多くの男たちを熱狂させて
いたアイドルタレントが、時を経て
見るも無残に膨張した姿を見た時
など、無常の悲哀を感じつつ、
思わず「寝ぶとりの仕業か?」と
疑ってみたくなるのである。

 妖怪は人間を害したり、いたずら
したりするものばかりとは限らない。
「だから何なの?」と、思わずつっ込み
たくなるような、奇妙なる存在も数多く
いるのである。
 たとえば「墓みがき」。江戸時代、
伊予国(愛媛県)に始まり、江戸府内に
まで広まったという噂話。夜中、白衣
の男女が熱心に墓石を磨いていると
いう、ただそれだけの目撃談である。
確かに想像すると気味悪いが、それで
どうしたというわけでもない。

 あるいは「ぬっぺほふ」。夜中に
死肉の塊がほっつき歩いているだけ。
見た人間はさぞかし驚くだろうが、
特に害はないそうだ。「小豆洗い」
は、山中の小川でショキショキと
小豆を研ぐ音をたてる妖怪なのだ
そうだ。

 彼らは「科学的でない迷信」と、
青筋立てて否定するほどのものでは
ないし、存在を証明しようではないか
と意気込むほどのものでもないだろう。
何となく奇なる面白さを持つ存在で
ある。イマジネーション世界という
のは、受け入れてこそ豊かに広がる
もののようである。おっと、今
「ぬらりひょん」が訊ねてきた
みたいだ。お茶でも出そうか・・・
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