老人ホームの人妻看護師
第10章 マッサージって気持ちいい!
今日は新しい入居者さんが来られます。
私がここへ来る1月ほど前になくなられた方がいたお部屋だそうです。順番待ちの方がおられるそうで、その1番手の方ということでした。空き部屋の間もお金は払っていたそうです。お金って、あるところにあるんですねえ。
管理人さんの話では、笹原さんという方で、隣町でマッサージ院を開業なさっていて、結構はやっているとのこと。ここの入居が決定してからは常連客を息子にまかせ、そんな処置もやっと終わっての楽隠居だそうです。大きなものは既に運び込んであり、今日は息子さんと2人で身の回りのものだけを持ってくるとのことでした。
午後3時ごろに引越し荷物を積んだらしい軽トラックがやってきました。
なるほど、荷台にあるのは割と小さ目の段ボール箱ばかりで私でも持てそう。
助手席から入居者らしいおじいさん、運転席から息子さんと思われる中年の男性が降りられ、こちらへ向かって歩いてこられます。
早速、自己紹介です。
「あのー、今日入居予定の笹原さんでしょうか?」
「はい、そうですが」
「私、ここで看護師として働かせてもらっています、佐藤由香里と申します」
「ああ、そうですか。笹原隆志です。こっちは息子の隆信です。いやー、若くてきれいな看護師さんが働き始めたという話は聞いてましたが、こりゃ想像以上に綺麗な方だ。よろしくお願いします」
男の人って年を取るに従って簡単に女の人を褒めることが出来るようになるみたい。ここで働き始めるまで綺麗なんて男の人から言われたことなんてほとんど無いのに。もちろん悪い気はしません。いえ、嬉しいです。多分顔がニヤけてます。
「こちらこそ至らないこともあるかと思いますがよろしくお願いします」
そこへ管理人さんです。
「どうも、ご苦労さんです。さきほど、鍵を開けてドアを固定しておきましたから、どうぞそのままお運びください。私もお手伝いします」
「ありがとうございます。ただ、息子もいますんでお手伝いは結構です」
「いえいえ、一人でも多い方がいいじゃないですか。見たところ私でも運べそうですな」
私だって手伝わないわけにはいきません。だって、この中じゃ飛びぬけて若いんですから。
「そうです、そうです。私もお手伝いします。女といっても、この中では1番若いんですから、もしかすると私が一番力持ちかもしれませんよ」
71