老人ホームの人妻看護師
第32章 老人ホームの介護実習生①
ここ3週間、ホームの皆さんは普段以上に元気です。
というのも、今、19歳の茜ちゃんという女の子が介護実習に来ているからなんです。
お爺様達の機嫌の良いことと言ったら目も当てられないほどなんですよ。
若いうえに明るくてとってもいい子です。
でもお爺様達がやに下がるのにはもう1つ訳があります。
茜ちゃんたら、白衣を自分で裾下げをしてミニスカートみたいにしてるんです。性格も相まって健康的な感じでいいとは思うんですが、ともすればお爺様達の視線は茜ちゃんの足に釘付けです。
「あの、じゃあ、私リハビリ手伝ってきまーす」
皆さんの囲いを説いて茜ちゃんが階段を上がっていきます。
ほらほら、皆さんは階段の下までお見送りという体で、一生懸命に白衣の中を覗こう必死です。当の美穂ちゃんはというと、気付いていないのか、気にしていないのか、手を振って階段を上がって行ってます。
お見送りが終わると、慌てて私に話しかけてきたりするんです。
「いやー、若いってのはいいねー」
ちょっと前まで私の事を若い若いって言ってたのに失礼です。バカにしてます。なんてことは顔には出さず
「そうですねー」
ニッコリと微笑み返す私ですが、なんだか急に年を取ってしまった気分です。
ほんとにいい子だし、嫉妬なんかするわけもないんですが、少し寂しい気も。
その茜ちゃんが最後の日、まさか、こんな可愛い若い子がお爺ちゃんとなんて。それを隣の部屋から盗み聞きする私。ありえない、ありえないって思っているうちにとんでもないことに。
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