今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第2章 心優しき文化圏
 東京大学名誉教授の村上堅太郎・
江上波夫・山本達郎・学長の林
健太郎著による「世界史(山川
出版社)」の教科書冒頭には、
著作者の歴史観を示す「概要」が
載っている。

「人類は文化をもった生物である。
しかしその文化は、はじめはきわ
めて単純・幼稚なものであった。
それが長い年月を経過するあいだに、
複雑・高級なものに進展して現在に
いたった。その間に生物としての
人類も進化してきたのである」と
ある。

 この記述は、物や道具が複雑に
進歩したから、人類も「高級」に
なったのだと言う、「物質的進歩
史観」と解釈出来る。高度経済
成長時代ならともかく、21世紀
になってまで通用する歴史観とは
到底思えない。

 世界史の教科書には、ほとんど
登場しない地域がいくつかある。
物質的進歩史観、戦争と暴力・
狂気と混乱の「文明」とは関係
なくとも、生命史観の立場に
立つと重要なのが、環太平洋
文化圏である。北アメリカ大陸
先住民族、樺太や北海道のアイヌ
民族。沖縄の琉球王国。南海の
楽園にたとえられる南太平洋諸島。
これらの地域には、それぞれの
民族が自然と共存しながら、独自
の文化を育んできた長い歴史が
ある。

 紀元前200年頃から紀元700年
までの、およそ900年間、南アメリカ
大陸のペルー北海岸には、「モチェ文化」
が存在していた。木村重信・大阪大学
名誉教授の解説によると、この文化
ではすでに「ノーマライゼーション」
が実践されていたという。つまり、
視覚障害者・身体障害者・精神薄弱者
などの人々は、より神に近い存在と
して尊敬され、健常者に大切にされ
ながら、共に暮らしていたという
のである。
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