今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第11章 ホスピス(下) /痛みを知る
  その問題のモルヒネだが・・・ケシ
の実からアヘンが採れる。そのアヘン
を単離したのがモルヒネである。言う
までもなく麻薬であるが、モルヒネに
は中枢神経系(脳し脊髄)に対する鎮痛
作用がある。これを正しく使用すれば、
がんの激痛を止めるだけでなく、咳や
息苦しさも同時に和らげることが
できる。麻薬と言えば中毒(禁断症状)
と誰もがイメージするが、WHOが
1969年に発表した薬物依存の報告
の中で、モルヒネを正しく使用した
場合の中毒症状を否定している。その後
イギリス・アメリカ・日本などのホスピス
で使用され、中毒に陥った臨床例は一例
もない。

 がんの痛みから解放された結果、夜
ぐっすり眠れるようになり、食欲が増進
し、全身の倦怠感がなくなる。そういう
状態になってはじめて、読書や音楽鑑賞、
趣味や仕事といった、本来の生活の質を
取り戻す事が出来る。

 1992(平成4)年10月の、第12回
日本臨床麻酔学会の席上、武田文和
埼玉県立がんセンター副院長(WHO専門会議
メンバー)は、医師は患者の痛みを過小評価
する傾向があると訴えた。

「看護婦は患者と長時間付き合い、患者の
痛みをよく知っている。しかし立場上、
医師にモルヒネの使用を勧めるというわけ
にもいかない。看護婦は医師よりも早くから
熱心にがん患者の痛みに関心を持ち、勉強
している。医師は看護婦の報告と判断に、
もっと耳を貸す必要がある」と。

 WHOは「痛み」の治療に対する関心の
低さを、世界共通の問題と指摘している。

「医学教育が疾患治療(キュア)の方法論に
偏り、患者の痛みの訴えに耳を傾けること
を教えていないことが原因である。」

 しかし、相手の立場になって考えると
いう人間としの基本的資質を、教育の場で
教わらなければ理解出来ないような者が、
医師として他者の生命を左右する事の
ほうがもっと問題かもしれない。医療
現場だけの問題ではない。他者の肉体的・
精神的「痛み」を理解する心は、知識偏重
の教育からは育つはずもない。相手の立場
になってものを考えるためには、「推察力」
や「想像力」が欠かせない。それらは皆
右脳が司る「感性」の領域である。
 
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