今昔医療福祉外伝
今昔医療福祉外伝
アフィリエイトOK
発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

オーナーサイトへ
アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
今昔医療福祉外伝 第10章 ホスピス(上) /ホスピスの成り立ち
 小泉のホスピス運動に呼応した
1人が、長岡市在住の飯田女子短大
教授の田宮仁だった。田宮は「県仏教者
ビハーラの会(代表・木曽隆)」の一員
としてホスピス建設を推進。田宮の兄・
崇が経営する長岡西病院の一角に、
新病棟を建設するに至ったのである。

 浄土真宗系の寺にはかつて、「往生院」
「涅槃堂」と呼ばれる、末期ケアの
為の施設があったと、田宮は語る。源信
(942~1017)の著作「往生要集」
という、ターミナル・ケアについて
記した本もあった。仏教が衆生救済
という、本来の生命力を取り戻せるか
否かは、「ホスピス運動」の成否が象徴
的に語りだすはずである。

 1993(平成5)年9月。聖路加国際
病院院長の日野原重明は、長年の夢で
あった独立型ホスピス「ピース・ハウス・
ホスピス」開設にこぎつけた。日野原が
理事をつとめる(財)ライフ・プランニング
センターが、神奈川県や日本船舶振興会
から約6億円の寄付を得て、神奈川県
平塚市の北西・中井町に建設。富士山や
丹沢連峰を望む、絶景の地である。外観
も室内も、病院というよりは、ホテルか
ペンションといった感がある。中庭には
花々が咲き乱れている。個室12室、
2床室1、4床室2。医師6名、看護婦
17名、宗教者1名、ケースワーカー1名、
薬剤師1名、栄養士1名、その他調理師、
環境整備員、ボランティアなどのスタッフ
で構成されている。

 日野原は、1970(昭和45)年に、
日本赤軍による「よど号」ハイジャック
事件に、乗客として遭遇。死の恐怖と
向かい合った。機内で4日間を過ごし、
若き日の闘病体験を回想する。ドスト
エフスキーの「カラマゾフの兄弟」を、
機内で読み続けた。
79
最初 前へ 76777879808182 次へ 最後
ページへ 
TOP