今昔医療福祉外伝
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第1章 エピダウロス・スピリット
 午後は悲劇が上演された。エウリ
ピデス作の「メディア」。夫に捨て
られた女の復讐劇である。エウリ
ピデスは人間の奥深い心理描写を
得意とし、女王メディアの愛欲や嫉妬、
憎悪や残忍さを赤裸々に描き出した。
アポロニアはさまざまな意味で、自分
の情感をかきむしられた。女としての
共感や反感。夫を戦争で失った現実の
感覚が、メディアの悲劇と照応した。
アポロニアは我知らず涙を流していた。
流した涙によって、気づかぬうちに
心が浄化されていた。アポロニアは
「生きる力」を取り戻した。

 ヒポクラテスは、「病める人」と
「悩める人」を同じ次元でとらえ、
それに対する「癒し」の方法について
語っている。先に述べたように、心と
体のバランスについて語り、人間の
情感を揺さぶる演劇・音楽・美術
作品などの芸術を有効に医療に活用
すること。これを「癒しのテクネー」
と名付けた。テクネーとは、テクニック・
テクノロジーの語源でもあるが、当時
は「芸術・医術・建築術・料理・魔術・
処世術」などの広い意味に用いられて
いた。アートやアメニティ(快適さ)
の語源でもある。

「人への愛のあるところには、また
いつも癒しのテクネーへの愛がある。
(医者の心得第四節)」

 そして何よりも、「癒しのテクネー」
に必要なのは、「創意工夫」であると
語る。時代や環境の違いに応じて、
「癒し」について考え、創意工夫を
凝らせば、おのずから有効な方法論は
生まれるものだというわけである。
そしてそれは、人間を肉の塊と見なす
ような唯物的思考、および科学の発想
からは決して湧いてこないだろう。
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