今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第7章 幕末任侠医・高松凌雲(りょううん)伝(上) /緒方洪庵と適塾の事
 適塾は蘭医学の塾だが、語学を徹底的
に行うのが特徴である。言葉がわからな
ければ、本が読めないからである。本が
読めるようになれば、それは医書でも
兵書でもかまわない。適塾が日本有数の
技術者を多数世に送り出していった理由
もここにある。政治的イデオロギーに
左右される事のない自由人が多い。
福沢諭吉などは、その代表だろう。

 凌雲が医者を志した動機は、洪庵の
場合と同じくコレラだった。1858
(安政5)年8月、上海で流行していた
コレラを、イギリス人が長崎に持ち込み、
九州から京・江戸にまで広がっていった。
江戸だけでも約3万人の死者が出た。
各地で死者を焼く炎が絶える事なく、
地獄絵図そのままの光景となった。

 凌雲は、コレラの恐怖と人々の泣き
叫ぶ声に対して、いてもたってもいられ
なくなった。武士を捨て、医者を志し、
家出して江戸へ。シーボルトの弟子・
石川おうしょ桜所の塾生となった。
それから約2年間、オランダ語の
基礎を習得してから適塾の門を
たたいたわけである。凌雲は不眠不休
の適塾方式の勉強で、短期間で
めきめきと実力をつけていった。

 凌雲が素っ裸でオランダ語と格闘
している頃、清国・上海に向かう幕府
使節団の一行に、一人の長州藩士が
まぎれこんでいた。高杉晋作23歳。
吉田松陰創設の松下村塾四天王の一人
である。

 高杉は、西洋列強諸国に半ば植民地化
されていた上海の現実を目撃。同時に
豊かな財力と軍事力と文化を持つ西洋
文明を見て、強い衝撃をうけた。

━ これが明日の日本の姿か・・・━
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