今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第7章 幕末任侠医・高松凌雲(りょううん)伝(上) /緒方洪庵と適塾の事
 しかしこれを一般庶民に普及すると
なると、ただごとではなかった。ただで
さえ「西洋嫌い」の多い中、牛の膿みを
健康な人間にすり込むなど、正気の
沙汰ではなかった。さらに幕府の官僚
主義の厚い壁にも阻まれた。「前例が
ない」というわけである。

 洪庵が有力大阪商人の協力を得て、
「堺種痘所」を開設するのは、1859
(安政6)年の事である。種痘普及を
始めてから10年。筆舌に尽くせぬ
苦労を味わったと、洪庵は述べている。

 さて、「適塾」である。二階三十畳の
畳は、20年にわたって男たちの汗を
たっぷりと吸い続けてきた。その
おかげで、蚤・しらみ・南京虫たちは
すくすくと成長・繁殖し続けた。塾生
たちは、蚤・しらみを友とする事から、
蘭学修行の第一歩を踏み出すといって
よい。

 また、「畳」は塾生たちにとって
重要な意味を持つ。畳一枚が、塾生
一人の「領土」となる。そこに机や
身のまわりの品を置き、勉強し、寝る。
「畳」は場所によって条件が異なる。
窓際の畳は、光と風が多く入り、
ローソク代の節約も出来る。しかし
階段脇の畳となると、昼なお暗く、
夜中に便所に起きた他の塾生に
蹴飛ばされもする。

 この「畳」の位置は、月6回
行われる試験の成績によって決定
される。塾生は学力に応じて8段階
に分けられ、最上段階の者たちだけ
が洪庵から医学・語学・物理学・
化学などの講義を受けるのである。
入門者は当然の事ながら、階段脇の
畳からスタートする。すごろくの
「振り出し」にあたる。「あがり」
は塾頭といったところだろうか。
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