今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第7章 幕末任侠医・高松凌雲(りょううん)伝(上) /緒方洪庵と適塾の事
○幕末任侠医・高松凌雲(りょううん)伝
(上) 緒方洪庵と適塾の事

 
 日本の夏。大阪の夏。コテコテの夏。
幕末の頃、下帯ひとつも身につけて
いない素っ裸の男たち30人ほどが、
二階三十畳ほどの部屋でオランダ語と格闘
していた。彼らは皆、二十代前半の若者
たちであった。外は35度で風ひとつ
ない。まして薄暗い室内はモワッとして
息苦しく、人いきれと熱気で40度近
い。この蒸し暑さをまぎらわすためには、
「うちわ」で熱風をかきまわすしか
手段はない。男たちは、全身から汗を
したたらせながら、念仏のようにぶつぶつ
とオランダ語をつぶやき、とり付かれた
ように勉強していた。

 意識が無くなったら、机に突っ伏して
寝る。起きたならばオランダ語。この
光景は昼も夜も変わりなく、一年中続く。
夜ともなれば、30本のローソクが
明け方近くまでともり続ける。誰もが
必死だった。いや、劣悪な環境など
ものともしない神経と体力の持ち主で、
なおかつ学問に対する「情熱」がなけ
れば、この塾で生き残る事など出来な
かった。

 場所の名は「適塾」。蘭方医・緒方
洪庵が、大阪・北船場・過書町(大阪市
東区北浜3丁目)に開いた医学私塾で
ある。洪庵は1810(文化7)年、
備中足守(岡山県総社市足守)に、下級
武士の三男として生まれた。少年時代
にこの土地にコレラが流行し、バタバタ
と人が死んでゆくのを目撃したことが、
医者を志した動機となった。
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