今昔医療福祉外伝
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第4章 福祉僧・忍性(にんしょう)伝
 なだらかな般若坂途中のこの高台
からは、興福寺の五重塔や東大寺の
金堂、遠景には法隆寺の五重塔を
見る事が出来た。忍性は、こうした
福祉施設の場所を選定するにあた
って、「医療環境」の概念を重視
していた。心の風景とでも言おうか。
長年の経験にもよるが、患者の心が
癒される環境がどんな場所なのかを
よく知っていた。

 社会から「非人」として差別され、
身も心も絶望の暗闇の中にあった
ハンセン病患者たちにとって、この
場所はただただありがたかった。
事実、奈良・北山の患者たちは、
朝に夕に興福寺や法隆寺の五重塔
に向かって手を合わせ、涙を流して
いたという。

 この頃叡尊は西大寺にあって、
弟子たちの教育に専念していた。
忍性の施設に協力したスタッフの
多くは、西大寺の律僧たちだった。
丸顔で人なつっこい性格の忍性は、
彼らと共に患者たちの世話をした。
いつも柔和な笑顔を絶やさなかった。
気軽にハンセン病患者を背負って、
東大寺や興福寺のあたりを散策して
歩いた。背負いながら、四季の
移ろいや寺の由来の事などを話し、
仏教にまつわるさまざまなエピソード
を語って聞かせた。
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