今昔医療福祉外伝
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ジャンル:ノンフィクション
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/02
最終更新日:2011/03/02 11:02

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今昔医療福祉外伝 第3章 古代医療伝
○古代医療伝<1>


古代ギリシャ世界がヘレニズムの
混沌の中にあった頃、インドでは
チャンドラ・グプタ王による最初
の統一国家「マウリア朝」が成立
した。紀元前317年の事である。
首都はパータリプトラ。現在の
パトナーにあたる。聖なる大河・
ガンガーのほとりの、マガダ国
以来の古都であり、仏教徒の
聖地・ブッダガヤの北に位置
している。初代・チャンドラ・
グプタ王が20年間、2代・
ビンドゥサラ王が23年間統治
した。3代目を継いだのは、
好戦的で血の気の多い王で、
名前をブーラジャ(勇猛王)と
いった。

ブーラジャは即位後9年目に、
東インドのオリッサ州一帯を
制圧する為に軍勢を進めた。
紀元前259年の、「オリッサ
の戦い」である。戦いは激烈
で、マウリア朝軍・オリッサ軍
の双方合わせて約十万人の死者
を出したと言われている。戦い
はマウリア朝軍が勝利し、デカン
高原を除くインド亜大陸が統一
された。

ブーラジャは、戦い終えた戦場に
立っていた。大地に累々と連なる、
人間と象の死体があった。ある者は
象部隊に踏み潰されて、脳や内臓が
飛び散り、ある者は満身に矢を
射られたまま、ある者は首を切り
落とされたまま息絶えていた。
暑さのため腐敗の速度は早く、
息苦しいほどの腐敗臭に満ちて
いた。傷ついてうめき、のたうち、
けいれんする者たちの声が、地鳴り
のように聞こえていた。水を求めて
川へ這う者たちがいた。川は兵士
たちの血で赤くまだらに染まって
いた。田畑は荒らされ、うすら寒く
虚しい風が、ブーラジャの心を吹き
荒らしていた。戦いには勝った。
だが、勝利の栄光などという快楽は
存在しなかった。
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