虹の橋を渡ったゾウ
虹の橋を渡ったゾウ
アフィリエイトOK
発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/03/01
最終更新日:2011/03/01 10:29

オーナーサイトへ
アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
虹の橋を渡ったゾウ 第2章 印度象鎮魂歌(下) 無念の涙

○無念の涙

 東京都の大達長官から猛獣
処分命令を受けた福田は、翌日
の朝上野動物園の職員全員を集めた。

「第一種危険動物27頭を、1ヶ月
以内に毒殺せよとの事です。本日
閉園後、ただちに実行に移します。
なお秘密を厳守する為に、この事は
諸君の家族にも話さないように
お願いします。」

 福田は戦時猛獣処分の命令を
伝えた。誰もが無言だった。

「あの・・・象もですか?」
長い沈黙の後、飼育係の菅谷が訊ねた。

「ジョンはしょうがないでしょう。」
福田が小さな声で答えた。狂暴になって
いたジョンの絶食は、5日目に入って
いた。

「しかしトンキーとワンリーは何とか
救ってあげたい。彼らは平和の使者
なのだ。草食で性格が優しく、子供
たちの人気者でもある。戦争で殺し
たくない。」
福田と菅谷は共に、トンキーやワンリー
の糞を頭からかぶった仲だった。

 閉園後、最初の処分が始められた。
毒殺には硝酸ストリキニーネが用い
られた。ホンヒグマ1頭・ニホン
ツキノワグマ1頭に、ふかしたサツマ
イモに3グラムの薬を混ぜたものが
与えられた。2頭はもがき苦しんだ後、
20分後に息絶えた。翌日はライオン・
ヒョウ・チョウセンクロクマ1頭が、
同じように毒殺されていった。

 福田は眠れない夜を幾晩も過ごす
事になった。食欲もなかった。疲れ
果ててウトウトすると、夢に手にかけた
動物たちが現れてうなされた。他の職員
たちも同様だった。誰もが皆やりきれ
なかった。
8
最初 前へ 567891011 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ