虹の橋を渡ったゾウ
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/03/01
最終更新日:2011/03/01 10:29

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虹の橋を渡ったゾウ 第1章 印度象鎮魂歌(上) 動物処分命令
 大達は井下をじろりと見てから、
「それに・・・」と言った。
「公園緑地課長の井下君だったね。
君が管理する上野動物園の猛獣だがね。
処分もやむをえないだろう。猛獣を
処分することによって、国民に警告
を促すのだ。我が国は、皇国の存亡を
賭けた戦争をしているのだよ。私情
を捨てて非情に徹する事だな。」

 井下の顔から血の気が引いた。
彼は温厚で丸顔の、福田の事を思った。
飼育係の菅谷や村沢のことを思った。
誰もが、動物たちに自分の愛情の
ありったけをそそぎこんできた男
たちだった。彼らに、猛獣処分の
命令が出たことを伝えなければなら
なかった。

 福田は電話で井下に呼び出された。

「ついにきたか・・・」
福田は直感した。井下の沈んだ口調が、
その事を雄弁に語っていた。福田は机
の引き出しから、一通の書類を出した。
殺さなければならない動物の一覧表
だった。

「ホクマンヒグマ1頭・北極熊2頭・
マレー熊1頭・アカ熊1頭・日本熊
3頭・ヒグマ1頭・朝鮮クロクマ1頭・
トラ1頭・ヒョウ2頭・黒ヒョウ2頭・
コヨ―テ1頭・シマハイエナ1頭・
チーター1頭・ライオン4頭・満州狼
5頭・河馬3頭・アメリカ野牛2頭・
クロザル1頭・ブタオザル1頭・
マントヒヒ6頭・象3頭・ガラガラ
ヘビ1頭・マムシ2頭・ニシキヘビ
2頭」

 以上が上野動物園の第一種危険動物
である。これに井の頭恩賜動物園の
北極熊1頭と、日本熊2頭を合わせた
総計52頭が、さしあたって殺さな
ければならない猛獣だった。福田の
書類には、動物名と頭数の横に、
硝酸ストリキニーネと青酸カリによる
1頭あたりの薬物致死量が細かく記載
されていた。
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