虹の橋を渡ったゾウ
虹の橋を渡ったゾウ
アフィリエイトOK
発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/03/01
最終更新日:2011/03/01 10:29

オーナーサイトへ
アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
虹の橋を渡ったゾウ 第1章 印度象鎮魂歌(上) 動物処分命令
 都制誕生の目的は、「皇都の統一
および簡素強化と処務の敏活適実を
はかり、戦時行政の運営にわずかの
間隙なからしめ、もって大東亜戦争
の目的完遂に寄与せんとする」と
ある。要するに、戦争の完遂が全て
において最優先されるということで
あった。

 福田は前日の6月30日、東京市
最後の式典に参列した。「国防を
優先し、戦争遂行に第一の任務を
持つ都制移行」という、陸軍大将・
岸本綾夫市長の言葉が胸を刺した。
初空襲以来抱えていた漠然とした
不安が、「猛獣処分」という具体的
な現実になって迫ってきたことを
直感したからである。

 大達は都長官就任と同時に、関係者
に戦局の劣勢と東京大空襲が必至で
ある状況を説いた。軍部が国民に流す
情報と、現実の戦況の間には大きな
開きがあった。マスコミを通じて説く
事は出来なかったが、首都防衛体制
の強化、建物疎開、学童疎開を積極的
に推進してゆくためには、都庁職員に
危機を訴える必要があった。計画局
公園課長・井下清もその1人である。

 井下は山本計画局長と共に、都
長官室に呼ばれた。大達は2人に、
海軍のミッドウェイ大敗やガダル
カナル撤退の事実を話した。

「だが敗れたわけではない。一億国民
が一丸となってこの戦争にあたれば、
十分に戦える。さる日露の戦いに
おいても、戦前の圧倒的不利を
くつがえして大勝利を手中にして
きた。問題は前線で戦っている者と、
内地の国民の心構えの差だ。そのため
にはまず、皇都民たる我々がその模範
とならなくてはならない。防空演習
や各職場での軍事訓練を、より強力
に促進することは必要だろう。万一
の空襲に備えて、建物や学童を疎開
させる準備を進めなければならない。」
4
最初 前へ 1234567 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ