虹の橋を渡ったゾウ
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/03/01
最終更新日:2011/03/01 10:29

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虹の橋を渡ったゾウ 第3章 インディラ(上) ネルーの娘
 投書の主は、横須賀市逗子(現・
神奈川県逗子市)清泉学院小学校
三年生の近藤晃一(11歳)で、10円
の小為替が同封されていた。この投書
は「動物園に象を」という声の高まり
に拍車をかけた。

 台東区子供議会は、当時日本で一ヶ所
だけ象が残っていた名古屋東山動物園の
「エルドー」と「マカニー」をなんとか
貸して欲しいと依頼した。しかし象の
健康状態が良くないのと、全国の子供
たちに不公平になるのを理由に、願いは
実現されなかった。この時東山動物園の
北王園長を訪ねた大畑敏樹・原田尚子の
2名は、帰京後今度は国会を訪れ、松本
参議院議長に「ゾウ輸入の請願書」を
手渡した。

 一方、朝日新聞社と東京都民生局は
「象」のキャンペーンをおこし、子供
たちからインドのネルー首相に宛てた、
「象をください」の手紙815通を
集めた。手紙は、来日中のインド人
貿易商 H・K・ニヨギを通じて、
ネルー首相に手渡される事になった。
また「象を見た事のない子供たちが
描いた象の想像図」という奇妙な絵が、
インド大使館にあたるインド代表部
(丸の内・郵船ビル内)に届けられた。

 当時のインドは、前年インド独立
の父・マハトマ・ガンジーが暗殺され、
独立後の混乱と内紛、カシミール国境
紛争などで疲弊し、貧困にあえいで
いた。ネルー首相は多忙の極にあった。
だが、日本の子供たちの熱意はネルー
首相に届いた。7月16日、占領軍
総司令部は通産省に正式な輸入許可
を通知した。上野動物園の、空襲で
焼け落ちた象舎に象が戻ってくること
になったのである。
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