虹の橋を渡ったゾウ
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/03/01
最終更新日:2011/03/01 10:29

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虹の橋を渡ったゾウ 第2章 印度象鎮魂歌(下) 無念の涙
 殺し方は基本的に毒殺なのだが、
毒薬を与えた後、槍で刺殺される
動物も多かった。ニホンツキノワグマ
は、3日間絶食の後、寝ているところ
にロープを首に巻きつけ、数人がかり
で引っ張り15分かけて窒息死させた。
ニシキヘビは、首に縄をかけて頭部を
切断した。摘出された心臓は、それから
1時間半も動き続けていた。

 遺体は陸軍獣医学校生の手で解剖され、
毛皮は保存、珍獣は剥製、内臓や脳
は標本となり、残りの骨肉は動物園内
の慰霊碑前に埋葬された。処分された
動物は、「時局捨身動物」と呼ばれた。
 9月2日、猛獣処分の内容が新聞
各社に公表され、4日には慰霊法要が
行われた。井下公園課長は、席上挨拶
を述べた。

「このような非常措置を取らざるを
得なかった時局の苛烈さをよく考えて
いただきたい。」
井下の声は震えていた。

 慰霊祭には、近所の子供たちも多数
つめかけた。「殉難猛獣霊位」と書か
れた小さな白木の位牌の前で手を合わせ、
焼香の煙は長々と絶えることがなかった。
また、福田のもとには全国から、数多く
の手紙が寄せられた。

「どうぶつえんのおじさん、けだもの
ころしてかわいそう。ぼくは、いままで
どうぶつえんがいちばんすきだった。
トラさん、ライオンさん、シロクマさん
もすきだった。けれどもうぼくのすきな
どうぶつえんに、もうじゅうはいない
んだね。さびしいな。」
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