原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第8章 8・ヒバクシャ
 核兵器の「力」に対する信仰は、
決して衰えていない。インドの世論
調査では、91パーセントが
「核実験を誇りに思う」と答えて
いる。広島・長崎の惨状を多少なり
とも知る日本人にとっては、かなり
絶望的な数字と言える。この子供
じみた熱狂は、「原爆でぶっとばせ」
とフットボールチームに声援を送る
アメリカの女子学生の姿と重なるもの
がある。彼らは何も知らないのだ。
 
 1978年、ニューヨークの国連
軍縮特別総会が開催された時、国連
本部の廊下に広島・長崎の原爆被害者
の写真を展示する提案が成された。
だが入手した写真を見て、国連の
方々はあまりの悲惨さに愕然とした。
このような残虐な写真を果たして
展示してよいものか。あまりに刺激的
過ぎるのではないか、というのである。

 国連のお偉い方々というのは、
想像力がまるで無いらしい。たとえば
ニューヨークなり、パリなりローマ
なりに、直径300メートルの人工
太陽が突如出現したならば、その中の
人間の肉体がいかなる事になるのか、
想像してみるといい。熱は100万度、
衝撃波の圧力は数万トンと仮定して。

 オランダのハーグ国際司法裁判所
では、核兵器の使用は国際法に違反
するかという、あまり意義深くない
議論が成されている。しかも外務官僚
を中心とする日本政府の立場としては、
「違法とまでは言えない」というもの
である。確かに日米安保やら日中関係
など、核保有国との外交関係を考慮
すると、このような不思議な論理に
ならざるをえないのかもしれない。
だがそれでは、せっかく戦力放棄の
平和憲法を持ち、非核三原則を守り、
広島・長崎での被爆体験を持つ国の
発言としては、かなりお寒い。

 原爆はナチスに対する怖れから
生まれた。怖れはさらなる怖れを
呼び、さらなる怖れをつくり出す。
1957年4月16日。旧西ドイツ
の核武装計画に対し、ナチスの原爆
製造に抵抗したハイゼンベルクら
18人の科学者は、次のような声明
を発表した。

「いかなる原爆の製造、実験および
使用にも、参加することを断固として
拒否する。」

ハイゼンベルクが「何をしなかったのか」
に対して、あるいは不動の信念に対し
て敬意を表したい。
 
 
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