原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第8章 8・ヒバクシャ
○ヒバクシャ<1>


 少し架空の物語におつきあい願おう。
A国の王は、対立するJ国の町の住民
10万人を捕虜にした。どの町の住民
を選ぶかは、くじ引きで決めた。捕虜
の大半は、女性や赤ん坊、少年少女や
老人、牧師や修道女、教師や医者と
いった人々だった。A国の王は捕虜
たちを鉄鋼所前の広場に集め、J国
への見せしめの為、捕虜たちを1人
ずつ溶鉱炉へ投げ込むよう、部下の
軍団長に指示した。真っ赤に煮え
たぎった溶鉱炉の中は1400度。
投げ込まれた人間は、骨も残さず
瞬時にとけ去った。

 しかし10万人ともなると、大変
な労力を要した。これからも10
万人ずつと考えていた。王はもっと
簡単な方法はないかと思った。
そこで天才と呼ばれている科学者
を呼んだ。科学者は人工太陽を
研究中だった。

「王様、ついに出来ました。」
科学者は薄笑いを浮かべながら
言った。

「この人工太陽を使えば、100
万人の人間をたった1秒以内に
全員とかすことが出来ます。死体
がまったく残りませんから、残虐
だという印象を与えません。D国
の王が極悪人扱いされているのは、
死体を山積みにしたまま放置して、
写真やフィルムに残っているから
なのです。死体さえ消してしまえ
ばいいのです。人間の想像力とは、
しょせんその程度のものにすぎ
ないのです。」

A国の王は、それを聞いて狂喜した。
「これは歴史の中で、もっとも偉大な
出来事だ。」

 A国の王は、早速それを実行した。
その被害は予想を遥かに超えた悲惨
なものだった。A国とJ国はその後
同盟関係を結んだ。時は流れ、J国
の長老は言った。「人工太陽の使用
は、法律に違反するとは言えない。」
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