原爆
原爆

発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:未設定

公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
原爆 第6章 6・長崎市浦上
 ボックスカーは、長崎上空を旋回
しながら飛んでいた。スウィーニー
機長がレーダー爆撃を決断しようとした
時、ビーハン大尉が叫んだ。

「雲の切れ間に第2目標発見。」

即刻、スウィーニー機長の指示が飛ぶ。

「ようし。目視投下用意。全員対閃光用
眼鏡着用。」

 第2目標とは、三菱重工長崎兵器
製作所の事である。長崎の市街地から、
北に約2キロメートルほど離れた場所
にあった。この「第2目標の第2目標」
は、運命のいたずらに翻弄されながら、
爆心地へと変貌してゆく。午前11時
01分20秒。B29「ボックスカー」
の爆弾倉から、長さ3・5メートル、
直径1・5メートル、重さ4・5トン
の、ボテッとした形のプルトニウム型
原爆「ファットマン」が投下された。
11時02分。目標から北に500~
600メートルずれたファットマンは、
松山町のテニスコート上空530
メートル付近で核分裂反応を起こし、
巨大なファイアーボールを発生させた。

 長崎市北部の爆心地から半径2キロ
以内には、長崎医科大学、長崎医科大学
付属病院、三菱病院浦上分院、浦上第1
病院、浦上天主堂、長崎刑務所浦上支所、
城山国民学校、鎮西学院中等部などの
施設があった。広島の時と同様、巨大な
ファイアーボールの出現によって、人間
は瞬時にとけ去るか、黒焦げになって
即死した。建物は衝撃波で全壊した。

 原爆は、病院・学校・教会といった
文教施設を直撃した。爆心地である浦上
地区は、住民の約半数がカトリックの
信者だった。原爆を命令した者や投下し
た者、投下された者が皆カトリックの
信者だった事になる。

 広島同様、長崎にも多くの外国人が
暮らしていた。強制労働に従事させ
られていた、推定1万3千人前後の
朝鮮人。福建省出身の在日華僑200人。
牧師や修道女として来日していた、連合
国側の市民などである。医者も看護婦も、
入院患者も医学生も、浦上天主堂のマリア
像もロザリオも、ジュネーブ条約第2章
「傷病兵の保護」などという国際法も、
すべてが一瞬のうちに消えてしまった
のである。そして残ったのは、放射能障害
で苦しむ人々と無残な死体と廃墟の街・・
ファットマンによる直接の死者は、約
4万人と言われている。
39
最初 前へ 36373839404142 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ