原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第5章 5・命の水
 エノラ ゲイは原爆投下後、南方へ
離脱。8時16分には、爆心から約
8キロ離れた上空を飛行していた。
閃光に続き、衝撃波が2回あった。
機体が細かく軋み、やがて静かになった。
搭乗員たちは緊張感から半ば解放され、
重たい疲労感に襲われた。仕事のない
者は、仮眠をとったりキューバ葉巻
「ロミオとジュリエット」をふかしたり
していた。食事はサンドイッチとパイ
ナップルジュースだった。

 テニアン基地に攻撃成功の知らせが
届いたのは、午前10時半の事だった。
湧き上がる歓声と拍手。誰もがお祭り
気分になった。早速、戦勝祝賀会の準備
が始まった。数百個のパイ料理、数千個
のホットドック、大量のビールやレモ
ネードが用意された。掲示板には本日の
イベントとして、オールスター・ソフト
ボール大会、映画「おやすい御用」の
上映会などが、盛りだくさんに書かれて
あった。

 午後2時58分。エノラ・ゲイは
テニアン北飛行場に無事帰り着いた。
映画班や写真班をはじめ、多数の仲間
が搭乗員たちを迎えに出た。カール・
スパーツ将軍がチベッツ大佐に殊勲
十字章を贈った時、興奮はピークに
達した。まさに英雄たちの凱旋だった。
鳴り止まぬ歓声をよそに、搭乗員たち
はただただぐっすり眠りたいと願って
いた。彼らが投下した原爆「リトル
ボーイ」による直接の死者は、24万人
以上と推定されている。

 トルーマン大統領はその頃、ポツダム
会談を終えて巡洋艦オーガスタ艦上に
あった。グラハム大尉がトルーマンに、
原爆投下成功の極秘電報を手渡した。
トルーマンは喜びのあまり、思わず
グラハム大尉の手を握って言った。

「これは歴史の中で、もっとも偉大な
出来事だ。」
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