原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第5章 5・命の水
○命の水<1>


 広島市は、原爆爆発から10秒で
壊滅した。高温高圧の爆風は、秒速
380メートル。1平方メートル
あたり最大12トンの圧力で、同心円
を描くように広がっていった。半径
300メートル以内では、人間は
一瞬のうちに黒焦げの「炭」となって、
地面に崩れ去った。同時にあらゆる
物が燃え、同じく炭化した。

 また爆風の圧力によって、人間の
体は上から圧縮されて、眼球・舌・
内臓などが搾り出されて死亡した。
中には、口から溢れ出した胃や腸を
両手で持って歩き、もがき苦しんだ
後に死亡した人もいたと「目撃者」
は語っている。

 目撃者? そう、科学的には絶対
生存不可能な、死亡率98・4パー
セントの条件下で、78人もの人々
が生き残ったのである。日本銀行で
18名、富国ビルで16名などで
ある。そのうち2名は、中町と塚本町
の「路上」にいてである。世界最大の
奇跡の1つだろう。その証言によると、
爆発直後は「ピカ(閃光)でもドン
(爆発音)でもなく、真の闇より暗くて
深い闇があった」のだと言う。話を
聞いただけでも、背筋が凍りつく思い
がする。まるで、人類の業の深さを
象徴するような闇ではないか。

 爆心から半径700メートル位
までは「全裸地帯」と呼ばれ、肉体
の形は残っているものの、衣服はなく、
皮膚は真っ黒に焼けただれて死んで
いる人がほとんどだった。死亡率
95パーセント。鉄筋コンクリートの
ビールはほとんど全壊。建物の下敷き
になった上に、火災で焼かれた圧死体
も数知れない。熱風で皮膚も肉も内臓
も焼かれ、ドロドロに融けた肉体。
爆風に吹き飛ばされ、全身こなごなに
なった死体。体に大量のガラス片・
コンクリート片・鉄筋・木片などが
突き刺さり、床や壁・天井などに叩き
つけられて、首がちぎれ、手足が切断
され、胴体がバラバラになった死体。
まさに言語を絶する。
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