原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第4章 4・広島
○広島<2>


 午前7時30分、原爆搭載機「エノラ・
ゲイ」、科学機材搭載機「グレートアー
ティスト」、写真撮影機「ネセサリー・
イービル」のB29・3機編隊は、四国
上空から広島市西側と南側の高射砲台を
避けて、東側の竹原方面から侵入。
進路を西にとり、広島上空を目指した。

 午前7時31分、広島県の警戒警報は
解除された。人々は防空壕から出て、
やれやれと胸をなでおろした。あわただ
しい朝の生活が再開された。職場へと
市電に乗り、自転車をこいだ。茶の間
でラジオを聞き、中国新聞を読む人も
いた。配給の米と味噌で朝食の雑炊を
流し込み、「今日も暑くなるな」と、
挨拶がわりに言い合っていた。

 午前7時38分、エノラ ゲイは高度
9970メートルまで上昇し、水平飛行
に入った。爆撃手のトーマス・フィレビー
少佐は、ノーデン爆撃照準器に神経を
集中し始めていた。

 8時09分。編隊の先頭を飛行する
エノラ・ゲイが、広島市を視野に入れた。

「間もなくIP(イニシアル・ポイント)
に突入。」

IPとは、爆撃投下飛行開始地点の事で
ある。搭乗員全員に緊張が走った。爆撃手
フィレビーは、EP(エイミング・ポイント)
を捜して照準器を覗いていた。目標地点は
「相生橋」。大田川が、本川と元安川に
分流する地点する地点であった。

「全員、対閃光防御用メガネ着用。」

チベッツ機長の指示が飛ぶ。ニュー
メキシコ州での実験の際、原爆の閃光
は400キロ離れたテキサス州エルパソ
で目撃され、轟音は150キロ離れた
地点にも響いたという。

 8時15分。フィレビーは照準器の
十字中心点に「EP」をとらえた。同時
にパーソンズ大佐が、リトルボーイの
自動時限装置を作動させた。エノラゲイ
の爆弾倉が開いた。ネセサリーイービル
のカメラが、その様子を映し撮ってゆく。
同じ頃地上では、NHK広島中央放送局
の古田アナウンサーが、警戒警報の原稿
を持ってマイクに向かっていた。
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