原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第4章 4・広島
○広島<1>


─ 1日にして全人類の葬儀は終わる
  永い時の経過に、幸運が生み出した
  一切 磨きあげ、卓越せるもの一切
  すぐれて美しきもの一切 偉大な
  王座も 偉大な国土も 一切が深淵
  に落ち 一切が一刻にして滅びゆく ─

  セネカ(紀元5?~65年・古代ローマの
  政治家・後期ストア派の哲学者・悲劇
  作家。教え子に皇帝ネロがいる)の予言詩


 第二総軍司令部が置かれていた街・
広島市。1940(昭和15)年の、第5回
国勢調査における人口は、34万3千9百
68人。ほかに軍人4万人、郡部からの移動
1万人。軍需工場などで強制労働をさせら
れていた朝鮮人労働者が、韓国原爆被害者
協会1972年4月発表の数で約5万人。
8月6日朝、広島市には、約45万人の
人々が暮らしていた。

 この中には、満州国(中国東北部)から
広島文理科大学や広島高等師範学校に
留学していた中国人留学生数十人、
宣教師や修道女を含む日系アメリカ市民、
ドイツ・ロシア・モンゴル・東南アジア
諸国の市民も含まれている。さらに
広島城の大本営には、B24爆撃機
「ロンサム・レディ号」のパイロットなど
6名の、アメリカ人捕虜もいた。彼らは
祖国から見捨てられ、原爆の犠牲になった。

 ETA(到着予定時刻)8時15分。なぜ
朝だったのかという、素朴な疑問がある。
答えはあった。

「日中の時間をなるべく長くして、原爆の
効果をきちんと研究し、写真を撮りたかった」
というのである。普通、こういう行為の事を
「実験」と呼ぶ。

 午前3時。エノラ ゲイ機内では、
ウラン235などの最終起爆装置の
取りつけにかかっていた。しかし
この時点で、二重三重の安全装置に
守られている「リトルボーイ」は、
まだ目覚めてはいない。直径71
センチ、長さ3・5メ―トルの
砲弾型原爆の黒い胴体には、搭乗員
たちがクレヨンで落書きをしていた。
「必勝」「武運長久」というオーソ
ドックスなものに混じって、
「エンペラーを葬れ」というものが
あった。
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