原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第3章 3・エノラ ゲイ
 8月6日午前1時45分、エノラ 
ゲイに搭乗員の乗り込みが完了した。
1時27分、エンジンスタート。3号
4号、1号、2号の順で、両翼2基
ずつの36シリンダー・ライト
R3350型ターボプロペラエンジン
が快調に始動。1時35分、機は離陸
の為ゆっくりと滑走路に向かった。
1時45分、広島型原爆「リトルボーイ」
を搭載したB29「エノラ ゲイ」は、
テニアン北飛行場を離陸した。重さ
約4トンの原爆と5500ガロンの燃料、
12名の搭乗員とさまざまな機材の為、
機は重かった。2600メートルの
滑走路をいっぱいに使っての離陸に
なった。

 続いて「91号機・ネセサリー・
イービル(必要悪)号」と、「89
号機・グレート・アーティスト号」の
随伴機2機も離陸。3機のB29は、
一路日本を目指した。マクォート機長
のネセサリー・イービル号には、高速度
撮影用のカメラが、チャールズ・
スゥイーニー機長のグレート・
アーティスト号には、パラシュート
付きの科学観測装置が積まれていた。
いずれも、原爆の効果を正確に記録する
のが目的だった。なおチャールズ・
スゥイーニー少佐は、長崎原爆投下機
「ボックス・カー」の機長を務める事に
なる。

 漆黒の闇。進路北西246。高度
2800メートル。2200馬力4基
のエンジン音が、エノラ ゲイの細長い
鉄の胴体内に響く。コクピットの計器類
の紫外線灯が、緑色に妖しく光る。
搭乗員はそれぞれの持ち場で、さまざまな
計器類をチェックしていた。

 通信士・リチャード・ネルソン伍長は、
IFF(敵味方識別装置)やマイカービーコン
(無線標識)、自動方位測定器を操作していた。
レーダー操縦士・ジェイコブ・ビーザー中尉
は、方位探知機とスペクトル分析器・追跡用
レシーバーなどの「機械」と向き合っていた。
彼はナチスをやっつける為、真珠湾攻撃の翌日
(1941年12月8日)に陸軍航空隊に入隊
した男である。12人の搭乗員中ただ1人の
ユダヤ教徒だった。「人間」と向き合うの
ではなく「機械」と向き合う事が、彼らの
「戦争の現場」だった。
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