原爆
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公開開始日:2011/02/28
最終更新日:2011/02/28 10:54

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原爆 第3章 3・エノラ ゲイ
 8月3日午前9時。中国・広東の第五
航空情報連隊情報室(室長・芦田大尉)
では、アメリカのニューデイリー放送に
聞き入っていた。8月6日、広島に原爆
を投下するという内容だった。放送では
原爆が投下された場合の悲惨な状況を
克明に伝え、「30年間草木も生えない
焦土と化すだろう」という内容で
しめくくった。

 この予告放送は毎日3回、当日まで
続いた。長崎の場合も同様だった。
日本本土の民間人も、サイパンからの
放送を傍受している。当然、大本営
情報部も傍受していただろう。だが
「敵の謀略放送」であるとして、
広島・長崎にこれといった対策は
成されなかった。

 さらに広島市上空からは、M26爆弾
ケースに詰められた大量のビラが投下
された。

「即刻都市より退避せよ。日本国民に
告ぐ。このビラに書いてあることを注意
して読みなさい。米国は今や何人もなし
えなかった、きわめて強力な爆薬を
発明するに至った。今回発明された
原子爆弾は、ただ1個をもってしても、
優にあの巨大なB29・二千機が1回に
搭載しえた爆弾に匹敵する。この恐る
べき事実は、諸君がよく考えなければ
ならない事であり、我らは誓ってこの
事が絶対事実である事を保証するもの
である。我らは今や、日本本土に対して
この武器を使用し始めた。もし諸君が
なお疑いがあるならば、この原子爆弾
が唯一広島に投下された際、いかなる
状態を惹起したか調べて御覧なさい。」

 だが広島市民にとっても「ビラ(単伝)」
は、「鬼畜米英」の謀略にしかすぎな
かった。広島市民は、いつもと変わらぬ
日常生活を続けていた。

 8月3日。第二十航空軍司令官の
カーチス・ルメイ少将から、第五〇九
混成群団に対して「特別爆撃任務命令書
第十三号」が届けられた。攻撃は8月6日。
第一目標・広島。第二目標・小倉(現・
北九州市)・第三目標・長崎。作戦暗号
名「シルバー・プレート(銀の皿)」。
作戦には7機のB29が投入される事
になっていた。搭乗員たちはミーティング
で、作戦内容と目標上空の航空写真を
頭の中に焼き付けていった。
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