歴史エッセイ集「みちのく福袋」
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公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 16:33

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歴史エッセイ集「みちのく福袋」 第2章 第2章・国見八景
○第5景「輪王寺」

 ギタリストの友人が、琴と
胡弓でコンサートを開くと
いうので、秋の夕暮れに
散歩気分で出かける事にした。
会場は北山の曹洞宗金剛宝山
輪王寺。かつて仙台領808
ヶ寺の僧録司(曹洞寺院の
総管掌)だった禅寺である。
京都五山の別格が南禅寺なら、
北山五山の別格が輪王寺なの
である。

 交通量の多い北山バス
通りから、一歩輪王寺参道
に入ると、静謐な「気」に
包まれる。街灯もなく、
松の木の陰から辻斬りに
襲われそうな闇がある。
そこに元禄年間に建てられ
た山門(仁王門)が現れる。
古びた感じが渋い。「海東
禅窟」の扁額がある。
 輪王寺の開山は、室町時代
の1441(嘉吉元)年4月
8日。伊達家9世・大膳
大夫政宗夫人(輪王寺殿蘭
庭尼大姉)の祈願により、
11代持宗が伊達郡梁川
(福島県)に創建したもので
ある。当時学徳兼備の名僧
として知られた、太庵梵守
和尚を開祖として迎えた。
 9世政宗夫人・蘭庭尼は、
3代将軍足利義満夫人の妹
にあたり、6代将軍足利義教
は、後花園天皇に奏請し、
「金剛宝山輪王禅寺」の
宸筆の額面を賜っている。
輪王寺はその後、伊達家の
居城とともに移転し、山形県
米沢市、福島県会津若松市、
宮城県岩出山町を経て、
1602(慶長2)年に現在
の仙台市青葉区北山の地に
落ち着いた。

 輪王寺の造営は、仙台藩祖・
伊達政宗から4代にわたって
受け継がれ、綱村の代に至って
ようやく完成した。参禅弁道
の雲水は常に数百人と言われ、
奥州随一の禅の名刹だった。
しかし1876(明治9)年
3月、野火の類焼により
仁王門を残して、本堂・
営舎のことごとくが灰燼に
帰してしまった。
 曹洞禅の大本山・永平寺と
総持寺は、名刹の廃滅を
惜しみ、福定無外和尚を
住職に特選して復興を図った。
無外和尚の寝食を忘れての
働きによって、1915
(大正4)年に本堂と庫裏が
完成した。
 無外和尚は次に、造園に
着手した。
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