アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第1章 第1章・妄想回路
 遼介はビデオ屋に寄る以外、特に用事は
なかった。彼は翔子の少し後ろからついて
いった。翔子は環七方向に、細い道を歩いた。
教会と言うから木造の十字架付きの建物
だろうという遼介の予想に反して、翔子は
小さなビルの階段を上り、2階の重い鉄の
ドアを開けた。広さ20畳程のフロアに、
小さなテープルが10ほどあり、パイプ椅子
に腰掛けた人が15人ほどいて、それぞれの
テーブルで何事か話をしていた。

 遼介がキョロキョロしていると、翔子が
奥の空いているテーブルに案内した。背後の
窓に、高円寺中央公園の樹木が見えた。
蛍光灯の白々しい明かりは、事務的で興ざめ
だったが、翔子と2人だけで話が出来るのは
ラッキーだと思った。
 翔子は2人分のコーヒーを用意していた。
遼介が翔子の方を見ると、クリ―ム色の壁に、
チョコレート色の十字架があった。生まれて
この方、キリスト教などには縁が無いと思って
いた遼介だったが、十字架を見たとたん、なぜ
か懐かしいような、切ないような、胸の奥が
チリチリと焼かれる思いに襲われた。
 翔子は両手にコーヒー入りの紙コップを持ち、
遼介の席まで歩いてきた。その姿の背後に
十字架があった。清楚な白いワンピースを着た
翔子の姿が、遼介には天使のように見えた。
━目覚めよ・・・━

 遼介はふと、そんな男の声を聞いた。誰だ
ろうと思って周囲を見てみたが、声の主は
見当たらなかった。

━ふふっ・・・気のせいか・・・━

翔子は周囲を見回しながら落ち着かない様子
の遼介の、横に腰掛けた。

「どうぞお飲みになって、落ち着いてくだ
さい。」

 翔子の声で、遼介は我に帰った。
「あっ・・・どーも・・・」

困ったと、遼介は思った。来てはみたものの、
何を話していいのかわからない。とりあえず
テーブルの上の小冊子のページをめくって
言葉を探した。

「聖書とか、読まれます?」
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