アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第2章 第2章・深層潮流
若い女性たちの悲鳴が、随所から上がった。
その場で腰を抜かす者もいた。他の男たち
も呆然と立ち尽くし、青ざめた顔のまま
パニックに陥っていた。取次ぎに出た男が
震えながら救急に電話したのは、支部長の
異変に気がついてから30秒後の事だった。

 むろんその時、遼介の姿はなかった。
彼は刺した直後、包丁を引き抜いて
素早く階段を下り、何事もなかった
かのような顔で夜道を歩いていた。
右手の筋肉が硬直したようで、血まみれ
の包丁を握ったままだった。刺した時の
反動で、刀身の根元が右手親指の根元を
傷つけていた。

 どこをどう歩いたのかは、遼介にも
わからなかった。ふと気がつくと、寺の
境内だった。遼介は水道を探し、右手と
包丁を流水にさらした。血が流れて、
ようやく握った包丁が右手から離れた。
遼介は丹念に包丁を洗い、ブリ―フケース
に包丁を入れた。右手の傷はハンカチ
で押さえた。

 遼介はゴクゴクと水を飲み、沸騰して
いた体と心を落ち着かせた。するとよう
やく、ひたひたと喜びの感情がこみ上げて
きた。

「やった・・やったぞ・・悪の根を絶った
・・勝ったのだ・・これで翔子も悪の呪い
から解放されるであろう・・フフフフフ
フッ・・・」

 その頃ようやく、緊急車輌のサイレンの
音がけたたましく鳴り響いた。平和な住宅地
の夜空が、数十台の非常灯の明かりで真っ赤
に染まった。遼介は再び歩き出した。しばらく
歩くと環状7号線に出た。彼は傷の手当ての為、
家に帰ろうと思い、右折した。

「おお神よ・・我は邪悪なる者を滅ぼし
たり・・ここに栄光の扉が開かれる
・・・始まりの時来る・・・」

遼介は凱旋行進の気分に酔いながら、
騒がしいサイレンの音を聞いていた。


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