アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第2章 第2章・深層潮流
 遼介は爪を切る事に夢中で、テレビの
音声もあまり気にならない様子だった。
パチンパチンという乾いた音が、
リビングに響いていた。遼介はパジャマを
着てから、床に広げた新聞をパラリパラリ
とめくって眺めた。深夜の歌舞伎町で
起きた、少年の撲殺事件も載っていた。

「ふーん・・馬鹿な奴もいるもんだ・・」

 遼介にとっては他人事の事件だった。
「私は3日も眠っていたのか・・そうかも
なあ・・疲れが溜まっていたのだろうなあ、
きっと。それにしても有紀は遅いなあ・・
腹が減ってきたなあ・・・」

遼介は冷蔵庫を開け、何かとりあえず
食べるものはないか探してみた。チーズ
と魚肉ソーセージが3本あった。

「酒の肴だな。まあいい、休暇だから、
呑むか・・・」

 遼介はリビングの棚から極上のウイスキー
を取り出し、封を切った。ロックのウイスキー
をひと口飲むと、空の胃袋がカアーッと熱く
なった。そして飢餓感にも似た猛烈な空腹感
に襲われた。遼介は目の色を変えてチーズに
かぶりつき、ガツガツと食べ始めた。瞬く
間にソーセージも平らげ、冷蔵庫に残って
いた漬物や、半分萎びたキャベツなどを、
貪るように口に入れた。
 なんとか飢えた状態を脱した遼介は、
ピーナツを肴に酒を飲み始めた。テレビ
番組の馬鹿騒ぎが、やけに神経を苛立た
せた。遼介はテレビ下の収納ケ―スから
適当にビデオを抜き取ってセットした。
結婚式の映像が現われた。画面の中の
主人公は、遼介と有紀だった。2人とも
家族や友人から祝福され、満面の笑みを
浮かべていた。

 遼介はテレビと向かい合って座り、
画面をじっと見つめていた。ウエディング
ドレス姿の有紀が、とても綺麗に輝いて
見えた。すっかり忘れていた友人たちが
いた。遼介の両親もまだ健在だった。

「お母さん・・・」

遼介がポツンと呟いた。グラスの中で、
溶けた氷がカランと鳴った。

 画面は披露宴の映像と続いた。挨拶の
中で、暖かい家庭という言葉が頻繁に
登場した。

「・・翔子・・・」

微笑む有紀を見て、遼介は翔子の事を
思い出した。
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