アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第2章 第2章・深層潮流
支部長はキッパリと言い、ドアを閉め
ようとした。だが遼介の黒い靴が邪魔
をして、閉まらなかった。

「そんなはずはない。私を誰だと思って
いる・・・そうか、貴様ら・・私の軍団
と彼女の軍団が連合する事に恐れをなし
て、彼女を拉致監禁したのだな。よかろう、
暗黒団の悪魔どもよ・・・今こそ我ら
正義の軍団の力量を試す時・・・」

 遼介はそういう意味の事を喋っている
つもりだった。だが実際には、口をもぐ
もぐさせながら、聞き取れない意味不明
の言葉を発しているに過ぎなかった。
支部長は困惑した。

「お引取り願えないのでしたら、警察を
呼びます。」

 支部長はそう警告しながら、試しに遼介
の靴先を自分の靴で推し戻してみた。意外
にも簡単に、ズルッと押し戻す事が出来た。
支部長はドアを閉めて内鍵をかけ、外にいる
男の気配を伺った。もし彼が5分以内に退去
しなければ、警察を呼ぶつもりでいた。

 遼介はドアの外の壁にもたれていた。

「戦え・・・戦え・・・」

遼介の頭の中で、低く野太い声が叫び
続けていた。しかしもう1人の遼介は、
翔子が暗黒団に拉致された事で気力を
失い、貧血で倒れる寸前の状態で体を
支えていた。分裂した意識の中で、遼介
はかろうじて折衷案を捻り出した。

「一時撤退し、彼女を奪還する作戦を
練ろう。」

 遼介は壁を支えにして、階段を降りて
いった。その靴音を聞いた支部長は、
ひとまず胸を撫で下ろした。だが悪質な
ストーカーの場合、まだ安心するの
は早いと、気を引き締めた。しばらく
したら男たち2~3人で、周囲を見回
ってみるつもりだった。

 遼介は半ば無意識の状態で、高円寺
中央公園の樹木の下にたどり着いた。
この場所からは、教会の窓明かりが見えた。

「戦士にも休息は必要だ・・・」

 遼介は自分にそう言い聞かせながら、
地面に体を横たえた。木の根が枕に
なった。ヒヤリとした冷たい土の感触が
心地よかった。遼介が目を閉じると
すぐに、昏睡状態の眠りが訪れた。
それはここ数日の中で、最も心安らぐ
ひとときだった。
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