アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第1章 第1章・妄想回路
翔子は革命の内容を話しかけた遼介の、
話の腰を折って訴えた。
 紅潮していた遼介の顔が、一瞬引きつった。

「どうしても行かなければならないの
ですか?」
「ええ。」
「これからが重要なところなのに・・・」
「ごめんなさい。」

翔子は何も理由を言わず、席を立って
教会の支部長らしい年配の男の所に行って、
二言・三言話してから深々と一礼した。 
 遼介に2人の話は聞こえてこなかった。
彼は半分フテ腐れたような顔にな
っていた。やがて遼介の所に、翔子が戻って
きた。

「それじゃ私、これで・・・」

翔子はそう言うと、足早に教会を出て
いった。遼介はあっけにとられたまま、
1人ポツンと取り残された。

 遼介の向かいに、教会の支部長が座った。

「愛咲さんは何か急用ですか?」

遼介は苛立った表情を隠しながら、
つとめて冷静に質問した。

「私にも詳しい事はわかりません。」
「そうですか・・・」

 遼介の向かいの男は、興味の対象外
だった。会話を交わす事さえめんどう
に思えた。

「それじゃあ私もこれで・・・」
遼介は早々に席を立った。教会のドア
を開けて階段を降りていた時、ふと遼
介の脳裏に「暗黒団」という言葉が
閃いた。

「暗黒団だって? なんだい、
そりゃあ・・・」

 遼介の意識は、自分の無意識が発して
きた言葉を否定しようとした。だが
細い夜道を歩いているうちに、黒雲の
ような疑念がムラムラと湧きあがって
くるのを押さえられなくなった。

「まさか翔子の身に、悪魔の妨害工作が
及んで・・・その悪魔の軍団が暗黒団だと
すると・・・いや、落ち着け。彼女は
自ら進んで出ていったのだ。」

 遼介は高円寺駅までの道すがら、何度
か後ろを振り返った。自分自身が誰かに
尾行されているような気がしたからだ。

「私には重大な使命が与えられたのだ。
詩にも、続々と神の軍団が結集する
とあったではないか。たかが暗黒団如き
に屈する私ではない。見よ、この銀の
十字架を。これこそ神の戦士たる者の
証ではないか。ハハハハハッ・・」

 遼介は歩きながらブツブツと独り言を
言っていた。時折不気味な笑い声を
あげたり、ニヤニヤした表情をしていた。
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