アストラルの森2/聖人間工房
アストラルの森2/聖人間工房
アフィリエイトOK
発行者:オフィス亀松亭
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

オーナーサイトへ
アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
アストラルの森2/聖人間工房 第1章 第1章・妄想回路
翔子もエブラという言葉を知らなかった。

「でもすごい事じゃないですか。きっと
高級霊なんじゃないですか? 旧約聖書
に登場する聖人とか。」

「そうですね。そうに違いありません。
いやあ、翔子さんの言葉を聞いて安心
しました。」

 遼介は翔子の無根拠の応答に、すっかり
舞い上がった。教会内部の様子も、昨日
とは違って見えた。室内は明るく輝き、
窓の外の公園の街灯も、虹のような光を
放っているようだった。昨日と同じ
テーブルについた遼介は、早速翔子に
プリントアウトした詩を見せた。

 翔子は黙ってそれを読んだ。真剣な
表情だった。1度通して読むと、もう
1度噛みしめるように読み直した。読み
終えて、ふうっと大きく息を吐いた。

「時代を変革しなさいというメッセージ
なんですね。」
翔子がポツンと言った。翔子の反応を
じっと見守っていた翔子も、ふっと肩
の力を抜いた。

「有紀さんって奥様?」

 翔子の言葉に、遼介の顔面が硬直した。
「ひどい女でした。でも、もうどうでも
いい事です。私は目覚めて生まれ変った
わけだし・・・」

遼介は「こうして翔子という人にも
出会えた」と続けたかった。だが面と
向ってそんな口説き文句を言える度胸
などなかった。

「確かに酷い時代だと思います。大人も
子供も、神を忘れて心が荒れ放題なのだ
と思います。」

 翔子は純粋にそう思っていた。

「だから革命が必要なんです。」

翔子には、遼介が言う革命がどんな
ものなのか、よくわからなかった。ただ
きっぱりと断言する口調と、涙ながらに
語りかける真剣さは好ましい感じがした。

「素適な事だと思います。」

 遼介は翔子のその一言で舞い上がった。
私は正しいのだと確信した。遼介は最初
にして最大の理解者を得たと思った。
だが遼介の熱狂的な思い込みとは
うらはらに、翔子はしきりに腕時計を
気にし始めていた。

「あの、ごめんなさい。私、7時には
ここを出なければならないのです。」
20
最初 前へ 17181920212223 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ