アストラルの森2/聖人間工房
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/26
最終更新日:2011/02/26 11:10

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アストラルの森2/聖人間工房 第1章 第1章・妄想回路
「イエス・・・キリスト・・・」

 遼介はその言葉を口にした途端、なぜだか
今までに体験した事のない感動に包まれた。

━これはひょっとしたら、人生の転機なの
かもしれない。翔子という天使が、
 私の所に舞い降りたのだ。今までの私は
間違っていたのだ。━

 遼介は頭を天井に向け、目を閉じた。閉じた
目の奥に、まばゆい程の光を感じた。それは
崇高で暖かい感じのする光だった。さらに
腹の奥がカアーッと熱く燃えた。その熱波が、
遼介の全身を駆け抜けた。遼介は何か、いても
たってもいられなかった。
 翔子は様子が変わった遼介に、少し戸惑って
いた。なぜだか感激して涙を流している。
見開いた目が異様に輝いていた。

━妙な人・・・私何か変な事言ったかしら?━

翔子の印象通り、さっきまでおどおどしていた
感じの遼介が、奇妙な程自信に満ちた様子に
変貌していた。

「ありがとう、愛咲さん・・・」
 遼介はそう言って、翔子に握手を求めた。
「はあ・・・」

怪訝な顔で、翔子は握手に応じた。遼介は
力いっぱい、翔子の手を握った。翔子は
痛くて少し顔をしかめた。

「またここに来てもいいですか?」

「ええ・・・もちろん・・・」

「私はここに来て、愛咲さんに会えて、
生まれ変わるきっかけが掴めたんです。
いやぁ、感激です。」
遼介はそう言って、また涙を流した。

 翔子は遼介を高円寺駅近くまで見送った。
遼介は聖書を求めて駅高架橋近くの古本屋に
入った。奥の方で埃を被っていた、黒い表紙
の聖書を買った。遼介は足早に家路についた。
家の明かりは消えていた。有紀は帰っていな
かった。だがそれも毎度の事なので、もう
気にならなくなっていた。彼は廊下の明かりを
つけると、そのまま2階の自室に入った。
そそくさとパジャマに着替えると、ベッドに
うつ伏せになって、新約聖書を冒頭から読み
始めた。

 遼介はまるで、熱病に冒されたかのよう
だった。時折、聖母マリアのイメ―ジと、
翔子の清楚なイメージが重なった。彼女の
事を思い出すと、しばらく放心したような
表情になった。心臓がドキドキして甘苦しく
なった。そしてハアーッと深いため息をつい
てから、再び聖書に没頭した。
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