長編伝奇小説「アストラルの森」
第3章 第3章・暗黒のサバト
津田もまた、今野から「エロヒム・
エサイム」という言葉を聞かされた。その
とたん、津田は表情を一変させた。
津田は持っていたブリーフケースから、
登山用のナイフを取り出した。今野が邪気
を祓うお守りとして、必ず携帯するように
と言っていたナイフだった。津田は刃渡り
10センチのナイフを、自分の目の前に
かざして刀身を見つめた。
津田とすれ違ったのは、数人の女子高生
だった。津田はその笑い声に苛立った。
「止めろ・・・笑うな・・・」
津田は大声で叫びながら、ナイフを持った
右手をブンブンと振り回した。すれ違った
女子高生は、「きゃああぁぁぁ・・・」と
叫びながら逃げ去った。
津田は大声で叫びながら、ナイフを持った
右手をブンブンと振り回した。すれ違った
女子高生は、「きゃああぁぁぁ・・・」と
叫びながら逃げ去った。
その頃弥生は、関内の銀行にいた。これ
から中華街で昼食にしようかと思っていた。
銀行を出た時、悲鳴をあげながら走って来る
女子高生の1人とぶつかった。弥生は彼女を
抱き止めた。様子が尋常ではなかった。
「どうしたの?」
「イカレたおやじがナイフ振り回してる・・」
荒い息を弾ませて彼女が答えた。弥生が
遠くを見ると、確かにスーツ姿の男が暴れ
ている様子が見えた。
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