長編伝奇小説「アストラルの森」
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/24
最終更新日:2011/02/23 21:17

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長編伝奇小説「アストラルの森」 第3章 第3章・暗黒のサバト
 金吾は朝のテレビニュースで、事件の
第一報を知った。

「光が丘公園・・・」

事前に予測した通りの事が、現実になった。
金吾は背筋に薄ら寒いものを感じた。

「やはり、ほおってはおけないか・・・」
深いため息をついた金吾は、徐々に気持ち
を戦闘モードに切り替えていった。

 今野誠は午前中の診療を終えると、自室
に入って電話をかけた。電話の相手はこの
病院の患者で、彼の催眠治療を受けていた。

「西部さん・・・その後、調子はいかが
ですか?」
「はい、おかげさまで、ずいぶんと気持ち
が軽くなりました。」
西部は渋谷区役所にいて、携帯で受信して
いた。
「ところでお守りのナイフは、今お持ち
ですか?」
「はい、持っております。」
「そうですか・・エロヒム・エサイム・・」

 今野はそう言ってから電話を切った。口元
には薄笑いが浮かんでいた。

西部は今野の「エロヒム・エサイム」という
言葉を聞いた途端に、腹の奥底からぐらぐら
と煮えたぎる熱い怒りの衝動が湧き上がって
きた。目の前を通り過ぎる女たちが、自分を
あざ笑っているように思えた。

━許せない。私を誰だと思っているのだ。
私は聖なる戦士ぞ・・・━

 西部はカバンの中から刃渡り15センチの
ナイフを取り出し、近くにいた区役所の女子
職員をいきなり切りつけた。彼女は肩口から
胸元を切られた。突然の出来事に、彼女は
恐怖のあまり声も出なかった。腰が抜けて、
床にペタンと座り込んでしまった。

 だが周囲の女性から悲鳴があがった。西部
は勝ち誇ったような表情で、その悲鳴をあげた
女性めがけて体当たりした。ヒッという声が
して悲鳴が止んだ。彼女は西部の突き立てた
ナイフで腹部を抉られた。西部は血に染まった
ナイフを手放し、血に染まった両手を広げ、
遠巻きに見守る野次馬にカーテンコールを
受ける役者のようなポーズをとった。

 正午過ぎ、今野は再び病院長室から電話
をかけた。相手は津田と言い、やはり今野の
催眠療法を受けた患者で、商社の営業マン
だった。彼は内密に交際している人妻と会う
為、ちょうど関内の駐車場から出てきた所
だった。
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