長編伝奇小説「アストラルの森」
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発行者:オフィス亀松亭
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/24
最終更新日:2011/02/23 21:17

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長編伝奇小説「アストラルの森」 第3章 第3章・暗黒のサバト
第3章・暗黒のサバト<1>

 古内尚樹が運転する赤いポルシェが、環状
8号線を南下していた。助手席には古内に
クロロホルムを嗅がされた手塚留美が、
ぐったりと頭を窓にもたれて眠っていた。

「ああ、わざわいだ。大いなる都、不落の都
バビロンはわざわいだ。おまえに対するさばき
は、一瞬にしてきた・・・」

 古内はヨハネ黙示録の暗唱している一節を、
たっぷりと感情移入しながら朗じていた。
次々と移り変わる夜の街灯りが、古内の青白い
顔に不気味な陰影をつけていた。古内はチラッ
と助手席の少女を見た。両手をだらりと垂ら
して、よく眠っていた。彼は新たなる神への
供物を得て、ニヤリと口元を歪めて笑った。

「ハレルヤ。救いと栄光の力とは、われらの
神のものであり、そのさばきは真実で正しい。
神は姦淫で地を汚した大淫婦をさばき、神の
しもべたちの血の報復を彼女になさったから
である・・・」

 麻酔科の医師である古内は、1年ほど前から
ノイローゼ気味になり、たびたび精神科の友人
を訪ねて診察を受けていた。ある時その病院の
待合室で、麻生心理研究所の事を話す者と知り
合った。精神科の心理分析と薬物治療とは別の、
独自の方法論によって、患者は急速に回復に
向かうという話だった。

 むろん話を持ちかけた男は精神科の友人の
サクラなのだが、ともあれ古内は、世田谷の
麻生心理研究所での診察を受ける事が出来た。
麻生は十分信頼するに足る紳士だった。古内
は半年間、心理分析と催眠療法を受けた。
過去生を知るという退行催眠によって、彼は
前世の自分を知った。十字軍の戦士として、
勇敢に戦った事もあったという。

 古内は麻生の指導によって、自分に
これまで欠けていた崇高な使命に目覚めて
いった。彼は麻生に信用され、厳選された
特別な者だけに入会が許される、聖東方
騎士団の一員となった。神の栄光と祝福
に満ちた楽土を、この地上に建設する事が
目的だった。大淫婦の都から悪魔と交信
する魔女を一掃し、選ばれた神の戦士たち
による神の国を建設する事。これが麻生たち
聖東方騎士団に与えられた崇高な使命で
あった。

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