長編伝奇小説「アストラルの森」
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/24
最終更新日:2011/02/23 21:17

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長編伝奇小説「アストラルの森」 第1章 第1章・イナンナ
 真梨は残りのカクテルをグイッと飲み
干すと、拓也の腕を引いて店を出た。
雨はだいぶ小降りになっていた。拓也は
取材用サイドバックから折りたたみ
傘を取り出した。
「歩いて行こう。この近くなんだ。」
拓也は左手で傘をさし、右手を真梨の肩に
まわした。彼女は半ば不機嫌そうな顔を
しながら拓也に従った。
 2人は横浜球場の脇を山下公園方向に
向かって歩いた。やがて公園近くのマンション
に入り、最上階まで上った。弥生は柔らかな
微笑みを浮かべて2人を出迎えた。アジア風
の白檀が薫っていた。通されたリビングの窓
からは、横浜港の夜景が見えた。

 弥生は手土産のワインを受け取ると、
手馴れた仕草で酒の支度を整えた。真梨が
ふとデスクトップパソコン横の書棚を見ると、
アロマテラピーや薬草に関する本と、古代史
関連の本がびっしりと並んでいた。弥生は
簡単な自己紹介をした後、早速イナンナに
ついてしゃべり始めた。

「シュメール文明はね、今からざっと7千年
位前に栄えた文明でね。謎が多いのよ。
首都のウルはね、ユーフラテス川河口近くに
開けた人口25万人の大都市で、港の船は
インドやエジプトと交易してたの。ちょうど
横浜港みたいだったんじゃないかな。そこで
信仰されていたのが、暁の明星イナンナ。
暁の明星って金星の事でしょ。西洋占星術で
金星は愛と美の女神。ビーナス
の原型はイナンナなのよ。」
「ほほぉ・・・」

 真梨は弥生の顔をまじまじと見つめながら、
話の内容に感心しきりだった。
「イナンナはその後、アッカド文明でイシュタル
エジプトではイシス、フェニキアでアスタルテ、
ローマ帝国ではキュベレという名で信仰されて
ゆ くの。母なる大地にして豊饒と性愛の女神。
動植物を育む生命そのものってとこね。」
「なぜだろう。昨日食べたものも満足に覚えて
いないのに、7千年?そんな昔の話が、すごく
よくわかる気がする。」
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