長編伝奇小説「アストラルの森」
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:アストラルの森2・聖人間工房

公開開始日:2011/02/24
最終更新日:2011/02/23 21:17

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長編伝奇小説「アストラルの森」 第1章 第1章・イナンナ
真梨はたとえようの無い至福の感情に包まれて
いた。柔らかく穏やかな、綿雲のような光の
海に浮かんでいるような感じだった。
 真梨の体は輪郭を失い、柔らかな電球色の
光と一体になっていた。なぜだかそれが、
イナンナと名乗った声の主の体のような気が
した。

「その通りです。」
イナンナが真梨に告げた。
「あら、わかっちゃった?ちょっと思った
だけで通じるんだ。なんかバレバレって
感じ・・・」
「私はあなたですもの・・・」
「私がイナンナ?」
「いずれわかります。これから私のビジョン
を投影します。」

 次の瞬間、真梨の頭頂からダイヤモンドが
放つ輝きに似た色の光が、噴水のように吹き
上げた。それは真梨の体内をも満たし、宇宙
空間のような虚空の四方八方に放たれた。
光は七彩に輝きながら流れ、川となり、海と
なった。

「うわあぁ、きれいっ・・・」

 真梨は圧倒的な美しさを体感しながら、
歓喜の頂点のような感情に満たされていた。
真梨の肉体からは、涙が頬をつたっていた。
今までの全てが一瞬のうちに癒されてゆく
ようだった。
「これからあなたは、必要とする時いつでも
あなたの中の私を呼び出す事ができます。」

「ありがとう・・・イナンナ・・・」

真梨のビジョンから、光の感覚が次第に薄れて、
通常の肉体感覚が戻ってきた。深い眠りから
目覚めたように、真梨は目をあけた。ジャニス
のCDがエンドレスで鳴っていた。車の外は
どしゃ降りの雨。ワイパーの音がカタッカタッ
と、規則正しい音をたてていた。しかしつい
さっきまでの重苦しい感情はなく、不思議な
静寂感があった。頭も清々しくクリアだった。
「夢?」
 真梨は一瞬前の記憶を、はじめから順に呼び
戻してみた。すべてを明確に、細部にわたって
思い出せた。真梨はCDを止めて、しばらく
雨音を聞いていた。

「夢じゃないわよ。」

イナンナの声だった。
「どう? 通常の状態で普通に聞こえる
でしょ。」
「ええ。」
「あなたのハートのセンターに、意識の波動を
変換して届けているの。私の
声はハートで聞いてね。」
「わかったわ。困った時は助けてくれるの?」
「助言する程度だけどね。」
「それで十分。」
「それじゃ、またね。」

真梨の中からイナンナの意識がスウーッと
消えていった。
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