ツマズキながら歩いてきました
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発行者:泉あゆみ
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ジャンル:エッセイ・日記

公開開始日:2016/06/12
最終更新日:2016/07/24 12:25

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ツマズキながら歩いてきました 第7章 掴んだ再演のチャンス!
不安と期待が入り混じって、本番に向けての稽古が始まりました。


芸能スクールとは違い、緊張感のある中での稽古は、本当に勉強になりました。

驚いたのは、ペースが速いこと。
踊りの振り付けを覚える量がかなりありましたが、短期間で本番を迎える為、急ピッチで進んでいきます。


私は、どちらかというと「物事を深めて、完成度を高めるタイプ」なので、
ハイスピードで次から次へと進む稽古には、ついていくのが精一杯でした。


1ヶ月半の稽古期間を経て、本番。

初めて東京の舞台に立つこともあり、地元の友人や、母の友人や知人がたくさん来てくれました。


私自身、まだまだ駆け出しでしたので、チケットノルマというものが存在したのですが、
当時は、25枚程、劇団からお預かりしたと思います。

ほぼ、完売に近い状態でお客様に来ていただくことができました。


主要キャストではない、その他大勢に近い役どころでしたが、
多くのお客様に来ていただけたのは、本当に嬉しかったです。




公演が終わったあと、お借りしていた衣装を返却する為に、劇団の事務所にお伺いした時のことです。


演出家の先生に、「次回公演も決定しているのですが、出演していただけますか?」とお声かけをいただけました。

時期をお伺いしましたら、スクールの卒業公演と重なっていた為、出演を見送らせていただきました。




「断っちゃたしな。。。次からはもう、声かけは無いかも。。。」と落胆していたのですが、
その劇団さんからは、公演が決まるたびに、お声かけをいただけるようになりました。




私は無事に、スクールを卒業。
その直後のこと。

在学中にお世話になった劇団の演出家の先生から、ご連絡をいただき

「昨年、出演していただいた作品を再演するのですが、ご出演いただけますか?」

とお声かけがありました。

稽古のスケジュールをお預かりし、稽古の初日に望みました。


演出家の先生から、信じられない一言。

「昨年は、ダンスの要素が多い、ダンサーとして出演していただきましたが、
今回は、主要キャストでお願いしたいのです。

芸能スクールに通われていた昨年は、専攻が演技と伺っておりましたので、
役をお渡しするのも、問題ないと思っています。」

とのこと。


私にとって、奇跡的な一言でした!

主要キャストになったからといって、踊りの部分が減るなんてことはなく、
むしろ、増える一方でしたが、「ぜひとも、やらせていただきたい!」という気持ちでした。



気になる役どころですが、とてつもなく意地悪な役で、まるで、韓国ドラマに出てきそうな悪役でした(笑) 


昨年と同様、約1ヶ月半程の稽古期間で、作品を作り上げました。


本番終了後、お客様からのアンケートに目を通しましたら

「あの意地悪な役をやった方は、本当に、ああいう性格なんだと思います!」

「世の中に、あんな人が居るんですね。恐ろしいです」

など、私に対する批評の嵐でした(笑)

傷ついた文面も、たくさんありました。



お客様は、私の事実など知らない。

しかし、この批評は、役をお預かりして、きちんと演じることができた何よりの証拠。

私にとっての当たり役になりました。
21歳の時でした。


再演があるたびに、同じ役を演じさせていただき、
その期間は、4年に及びました。



女優として、知名度が高かったわけじゃない。

だけど、一つの役を長年演じさせていただけたのは

本当に幸せなことでした】



※余談になりますが、私が舞台を引退したのは25歳の時でしたが、
この意地悪な役を最後に、引退しています。
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